No16 相続財産(預貯金)の所有金額について
昨年、人生100年時代を見据え95歳まで生きるには夫婦で約2,000万円必要となるというレポートを金融庁が突然公表したため世間で大きな話題になっていましたが、実際に相続税申告業務をしていると預貯金残高がどの程度お持ちである方が多いのか目にする機会があります。
相続税申告の対象となる方なので、財産自体はある程度お持ちの方が多いのですが、現預金の残高となると思いのほか財産に占める割合は少ない場合があります。
実際に統計をとってみると預貯金の残高として,
① 3,000万円~5,000万円
② 1,000万円~3,000万円
③ 1,000万円未満又は5,000万円超
と分類され、①②が約2/3を占めていました。
また、会社経営者一族や地主よりも、サラリーマン家計で高所得者の方が預貯金の残高が多い傾向にありました。
(現預金残高はお亡くなりになる年齢や生活スタイル(入院等)が直接影響するものなので、この傾向がどの方にも当てはまる訳ではない点ご了承ください。)
毎年、総務省は「家計調査報告」という形で1世帯当たりの平均貯蓄額を公表しておりまして、2018年度の平均結果は1,501万円となっていました。
(財産全体の平均値は1,752万円となっていました)
退職時に預金口座に約1,500万円があったとしても、退職後にこの預金額を維持していくことは継続的な収入を得ていない限り難しいですが、ある程度預貯金をお持ちされていた芳が相続時にかかる諸費用をまかなえますし相続時の相続財産の分割も不動産ばかりのケースよりも分割がしやすくなります。
財産の額にもよりますが、相続財産が1億円超となる場合など相続税がある程度発生することが事前に予想される場合には、できれば3,000万円くらいの預貯金を手元に残しながら相続対策を実施されることをお勧めします。