No10 相続税申告書作成における落とし穴~税務調査に入られる可能性が高い申告書とは?~
1.税務調査とは?
相続税は、税務署が税額を計算して課税されるのではなく、納税者の自主申告に基づき税額が計算される「申告納税方式」をとっています。
そのため、その申告内容が正しいかどうかを調べる必要があります。
申告内容が正しいかどうかを税務署職員が調査しに来ることを「税務調査」といいます。
2.税務調査の割合は?
すべての納税者に対して「税務調査」を行うことは難しいため、提出された申告書の内容を見て「税務調査」に入る対象を選ぶことになります。
では実際に税務調査が行われる割合はどのくらいでしょうか。
国税庁が発表している統計データを見ると、平成30事務年度における相続税申告件数は116,341件で、税務調査の件数は12,463件です。
(平成29事務年度における相続税申告件数は111,728件で、税務調査の件数は12,576件)
最近の税務調査の割合は約10%で推移しています。
つまり相続税の申告をした10人に1人は税務調査を受けているということになります。
3.税務調査に入られる可能性が高い(税務調査の対象となりやすい)申告書とは?
●生前の入出金が多い人
●名義預金がある人
●資産総額が大きい人
●自分で申告を行った人
●申告書に計算間違いがある人
税務調査の結果 85.72%(平成30事務年度)の人が申告漏れ財産等を指摘され追徴課税されています。
申告漏れ財産等件数の内訳は現金・預貯金等が74.3%、有価証券9.0%、土地建物4.7%となっています。
現金・預貯金等の申告漏れが大変多いため、生前の入出金が多い人や名義預金がある人は税務調査に入られる可能性が高いです。
また、相続税専門の税理士以外の人が申告書を作成した場合、財産の計上漏れや計算間違いの可能性が高くなるため、こちらも税務調査に入られる可能性が高くなります。
4.税務調査に入られにくい申告書を作成するためには?
税務調査に入られる=悪いこと ではありません。
しっかりとした申告書を作成していたら税務調査に入られても なにも指摘されずに終了します。
しかし、税務調査をされないに越したことはありません。