No25 相続放棄と相続の放棄
「相続放棄」と「相続の放棄」の違いについて
相続に関する手続きを進める際、「相続放棄」と「相続の放棄」という表現を目にすることがあるかもしれません。これらは似た言葉ですが、法律的な意味やニュアンスに違いがあります。以下に、それぞれの言葉の意味と違いについて詳しく説明します。
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相続放棄とは
「相続放棄」とは、法律上の手続きを通じて、相続人としての権利を一切放棄することを指します。相続放棄を行うことで、相続人はプラスの財産だけでなく、負債も含めた一切の相続権を失います。具体的には、家庭裁判所に対して所定の手続きを行い、「相続放棄申述書」を提出する必要があります。この手続きは、相続の開始(通常は被相続人の死亡)を知った日から3ヶ月以内に行うことが求められます。
相続の放棄とは
一方、「相続の放棄」という表現は、一般的には「相続をしないこと」を意味します。多くの場合、これは相続人同士の合意に基づき、ある相続人が自らの相続分を他の相続人に譲ることを指して使われることがあります。「相続の放棄」として相続を辞退する場合、法律的には遺産分割協議において自分の相続分を放棄する形になります。これは、相続放棄とは異なり、相続人としての地位を失うわけではなく、遺産分割協議の結果として財産を受け取らないという形です。
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相続放棄と相続の放棄の違い
両者の最大の違いは、法的な効力と手続きの有無です。
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相続放棄:法的手続きが必要であり、裁判所に申請することで、相続人としての地位そのものを放棄します。このため、負債を含む全ての相続から完全に解放されます。
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相続の放棄:法的な手続きを伴わず、遺産分割協議の中で相続分を受け取らないという形で相続を辞退することを指します。これは相続人としての地位を放棄するものではなく、特定の財産を受け取らないという選択に過ぎません。
まとめ
「相続放棄」は法律に基づく正式な手続きであり、相続人としての権利と義務を完全に放棄するものです。一方、「相続の放棄」という表現は、法的には明確な意味を持たず、通常は遺産分割協議で自らの相続分を辞退することを指します。これらの違いを理解することで、相続に関する手続きを適切に進めることが可能になります。相続に関する問題は複雑ですので、必要に応じて専門家に相談することをお勧めします。
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